◆2022年11月15日(火) 3年ぶりとなる 国連公開講座「世界を語る」
~北東アジアと日本の針路を考える~ を開催しました◆
多数のお申込み ご来場 ありがとうございました。
講座は採録パンフレットとして2023年1月中旬に発行予定です。
◆第62回 国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト
全国審査結果◆
第62回 国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテストの入賞者が発表されました。
全国3,381作品の応募から予選を通過した 45作品の選が行われ、京都府予選を通過された
京都教育大学附属京都小中学校中2年 三浦すみれ さん の
持続可能な開発目標(SDGs)の中で一つ目標を選ぶとしたら、どのような理由でどの目標を選ぶか。また、その目標をどのように達成するか。 が
外務大臣賞 に輝きました。おめでとうございます。
◆第62回 国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト京都府予選結果◆
2022年度国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト京都府予選には
11校から昨年度の約5倍となる163点の作品をご応募いただきました。
厳正な審査の結果、以下の2点を全国審査に送付いたします。
京都市立下鴨中学3年 H. A.さん
持続可能な開発目標(SDGs)の中で一つ目標を選ぶとしたら、どのような理由でどの目標を選ぶか。また、その目標をどのように達成するか。
京都教育大学附属京都小中学校 中2年 M. S. さん
持続可能な開発目標(SDGs)の中で一つ目標を選ぶとしたら、どのような理由でどの目標を選ぶか。また、その目標をどのように達成するか。
<審査員の先生方から講評をいただきました>
・今年は昨年の5倍もの応募がありました。
選択テーマは
① 持続可能な開発目標(SDGs)の中で一つ目標を選ぶとしたら、どのような理由でどの目標を選ぶか。また、その目標をどのように達成するか
② 今の国連に何が求められているのか。
③ 争いや差別のない世界にするために国連と私たちができること。
の 3つでしたが、SDGsのなかで環境問題に焦点をあてた作品や、ウクライナ戦争を話題にした作品 が数多く見受けられました。
コロナの感染拡大で、学校のさまざまな行事等がなくなり、授業もオンラインが増え、
自分の目で見聞きして体験的に得ることが少なくなっているため、自分の経験、体験を踏まえて書くことが難しかったように思います。
そのようななかで、中学生のみなさんが自分なりに調べ考えたことを熱心に綴っておられることに感心しました。
作品の評価が均等に近く、2編の優秀作を選ぶことが大変難しい年でした。
作文コンテストにご応募いただいたみなさんが、国連の活動や役割、国際理解や国際協力、そして国際平和について考える時間をもたれたことは大変有意義なことです。
今回は残念な結果だったみなさんも次年度のコンテストにもぜひチャレンジしてみてください。中学3年生のみなさんは、来年は高校生の主張コンクールにぜひご応募ください。
※第69回 国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール は 公益財団法人 日本国際連合協会 に直接応募いただき、京都府予選は行いませんでした。
◆小冊子『国連とつくる私たちの未来』をご希望の方にお送りしています◆
送料1部180円のご負担をお願いします。また、可能でしたら+αのご寄付もお願いします。
お申込は 件名に「国連冊子」住所・氏名・電話番号を明記のうえunabooklet@unakyoto.ec-net.jpへ
※8月6日(土)の京都新聞市民版(23面)に
紹介記事を掲載いただきました。
京都新聞Website記事は → こちら
◆国連について
・・・国連協会京都本部から いまお伝えしたいこと・・・◆
2020年、米国民間調査機関のピュー・リサーチセンターが行った調査によれば、日本における国連への好感度は先進14カ国中最低でした。
いま、ウクライナ情勢に関する報道やSNSで「国連は機能していない」「役立っていない」という批判の声が多く聞かれますが、ひとたびSNSでそのような書き込みがなされれば、あっという間にリツイートされ拡がってしまいます。確かに、国連安全保障理事会では、常任理事国が拒否権を行使することで決議が採択されないこともあります。しかし、国連が地球規模で行っている様々な活動からすると、これは国連の一つの側面にすぎません。
最近、私たちの生活のなかに根付きつつある「SDGs」。これも歴史ある国連の活動のなかから生まれてきました。SNSで「SDGsなんて考える必要がない」という書き込みは、あまり目にすることがありません。「好感をもてない国連」で採択された目標なのに「SDGsのために何ができるか?」と懸命に考えている人が何と多いことでしょう。
国連支援の輪を広げようと「京都から世界平和を願って」活動している当本部は、今回の世界情勢以前から、国連を正しく一般市民のみなさんに知っていただき、国連への理解を深めていただけるよう努めています。
今回、当国連協会京都本部に元国連事務次長・公益財団法人 フォーリン・プレスセンター 前 理事長 赤阪清隆様から「ロシアのウクライナ侵略と国連」についてメールをいただきました。国連でご活躍になられた赤阪様が いま起きていることに対して国連がしていること、できること・・についてわかりやすく伝えてくださっています。
当本部の ウェブサイトで一般市民のみなさまにもシェアをさせていただきたいとお願い申し上げましたところ、ご快諾くださいました。ぜひご一読ください。
「国連は機能していない」「役立っていない」から「国連を評価する視点」に目を向けていただけることを願い、以下に掲載させていただきます。
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ロシアによるウクライナ侵略は、明白な国連憲章違反で、断じて許せない暴挙です。連日のニュースを見るにつけ、怒りがこみあげてきて、腹の虫がおさまりません。ウクライナの首都キエフには、20数年前に一度だけ訪れたことがあります。街に人はまばらなのに、立派な地下鉄があるので驚いた思い出があります。その地下鉄が、ロシア軍による爆撃を避けるためのキエフ住民の防空壕となっているとのニュースに、心を痛めております。
文明が進んだはずのヨーロッパで、このような野蛮な戦争が展開されるとは、心底驚きです。メルケル前独首相は、プーチンのことを、21世紀にあって19世紀型の方法を使う指導者だと評したことがあるようです。元外交官で評論家の宮家邦彦氏は、「最初の4日間で、ウクライナは悲劇の主人公となり、セレンスキー・ウクライナ大統領は英雄となり、ロシアの名声は地に堕ち、プーチン大統領は「悪の権化」と化した。ロシアは「得るもの」よりも「失うもの」のほうが大きいだろう」と喝破されています。慧眼(けいがん)ですね。
それで、今回の「話のタネ」は、現下の「ウクライナ危機」ですが、ロシアや東欧の政治、軍事事情は専門家にお任せして、この危機に対する国連の対応にしぼってお話させていただきます。結論を先に申し上げれば、これまでのところ、国連は今回の危機に際して、様々な制約を抱えながらもやれることは精力的によくやっている気がします。確かに、国際の平和と安全の維持が任務の安保理は、ロシアの拒否権のために機能不全に陥っていると言えるでしょう。しかし、これは想定内のことで、今さらこの時点で拒否権云々を議論しても仕方がありません。安保理が、ロシアに対する非難はおろか、経済制裁や武力制裁を決議できなかったからといって、国連が全く無力だと決めつけるのは早すぎます。
それよりも注目されるのは、世界の国々を結集し、国際的な世論を作り上げるというソフト・パワーを持った国連が、今回はその能力をいかんなく発揮していると言えることです。安保理では、ロシアが拒否権を行使しましたので決議案は通りませんでしたが、その後、40年ぶりに安保理の要請という形で、国連総会の緊急特別会合が2月28日から3日間開かれました。その結果、ロシアの「侵略(aggression)」を最も強い言葉で「遺憾」とし、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求める決議が、141カ国の賛成で採択されました。反対したのは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、およびシリアの5カ国だけ。中国、インド、キューバ、ベトナムなど35カ国は棄権しました。国連加盟国は全部で193カ国ですから、圧倒的多数で、ロシアの侵略が国際的な非難を浴びたと言えます。
3月3日付の朝日新聞夕刊は、この決議採択を受けて、ウクライナの国連大使が、「国連はまだ生きている。私は国連を信じている。ウクライナの市民にとっても、国連を信じる理由がより増えた」と語ったと報じました。4日付の日経新聞社説も「これが世界の声だ」と断じ、総会決議には法的拘束力はないものの、多数の国々が結束して、ロシアの国際社会の中での孤立は鮮明だと記しています。バイデン米大統領は、採択後の声明で、決議は、世界の怒りの大きさや前例のない結束を示すものだと強調しました。星野俊也大阪大教授も、国連は「限られた時間で考えられることはやったと言える。満点に近い」と高く評価しています(3月4日付朝日新聞)。満点かどうかは異論があるかもしれませんが、国連の限界をよく知る人から見ると、今回は、安保理、総会とも、動きは迅速で、国連でなければできないことをやっていると高く評価してもよいのではないでしょうか。
グテレス国連事務総長の動きについては、当初情勢が緊迫しても仲介に動く姿勢は見せず、状況を注視するにとどまってその動くは鈍かったと批判する声もありますが、ロシアがウクライナに侵攻してからの強いメッセージは、世界の世論を結集するのに役立っていると思います。すでに100万人以上のウクライナ人が近隣諸国に避難しており、難民緒方貞子さんがおられた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や、世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)なども、緊急支援を強化しています。国連人権理事会は、ロシアの武力侵攻に関連する国際人道法違反などの人権侵害について、現地で調査する独立委員会を設ける決議を採択しました。
特に注目したいのは、オランダにある国際刑事裁判所(ICC)が、3月2日、39カ国の加盟国からの要請を受けて、ただちに、主任検察官が捜査を実施すると発表したとのニュースです。同裁判所は、「集団殺害犯罪」、「人道に対する犯罪」、「戦争犯罪」および「侵略犯罪」のいずれかの罪を犯した個人を、国際法に基づいて訴追処罰することができます。小田実さんや小和田恒さんがおられた国際司法裁判所(ICJ)では当事者が国家だけなのに対し、国際刑事裁判所(ICC)では個人の犯罪を扱います。ですから、プーチン個人を訴追、処罰することができます。
そうはいっても、ICC職員がモスクワに踏み込んでいって、「プーチン、逮捕する」ということができるわけではありません。国際刑事裁判所(ICC)の設立を決めた基本条約のローマ規程には、日本を含む123カ国が締約国になっていますが、ロシアもウクライナも、ともに締約国ではありません。しかし、ウクライナは、2015年にICCの管轄権を受け入れることを表明しています。犯罪行為の実行地または被疑者の国籍国のどちらかがローマ規程の締約国か、あるいは、どちらか一方がICCの管轄権を認めれば、ICCが管轄権を行使することができます。ですので、ICCの検察官が「人道に対する犯罪」、「戦争犯罪」あるいは「侵略犯罪」の容疑でプーチン起訴を決めれば、プーチンがウクライナやICC加盟国の領域に入れば、彼を逮捕してICCで裁判にかけることが可能となります。プーチンとしては、将来海外旅行をするとしても、北朝鮮かシリアあたりにしておかないと、いつ何時逮捕されるかもしれないという、怖くて孤独な状況に置かれることになりますね。もはや枕を高くしては眠れないー自業自得と言いたいですね。
このように、国連およびその関連機関は、目下のところ、ウクライナ危機に際して一所懸命に対応しているのがわかります。日本の国連に対する好感度は、2020年に29パーセントと、歴代最低の数字を出しました。昨年は、41パーセントと若干持ち直したものの、アメリカですら59パーセント、欧州の各国は軒並み6割から7割の人々が国連に高い好感度を示しているのに比べれば、日本の数字はあまりに低すぎます。確かに、安保理の改革はいつまでたっても見通しがきかず、常任理事国を目指す日本には不満がたまります。しかし、今回の危機に対する国連の動きは、メディアも大きく取り上げていますし、評価する声も見られ、これらを見て、「国連はなかなか良い仕事をしているじゃないか」という国連への好感度が日本でも高まることを期待しています。
国連は「腐っても鯛」と言っては身もふたもありませんが、村の鎮守の神様を祀るお社(やしろ)のようなもの。この普遍的な理念と理想、世界中からの加盟国を擁した国際組織にとって代われるものはありません。「国連なんぞつぶしてしまえ」という人も、つぶした後に、同じような国際的な組織を必要とする時がすぐ来るのを痛感するでしょう。今回のウクライナ危機で明確になった安保理の機能不全は、安保理改革の国際的な機運を再度高めることが期待されます。そして、何よりも、日本にとって死活的な重要性を持つ東アジアの安全保障、特に台湾統一の名のもとに中国からの侵攻が起きた場合に考えられる国際的な対応について、大事な教訓を与える演習が日々行われつつあるとも見るべきかとも思います。その意味で、今後ウクライナ危機がどのように展開していくのか、それに対して、国連や国際社会はどのような対応を見せるのか、毎日世界のニュースから目を離せません。心と頭、胃が痛む、深刻な「話のタネ」で恐縮です。(了)